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今回は「信用コスト」について解説したいと思います。
以前のコラム(「格付について」や「実質金利について」)でも少し触れましたが、金融機関には信用コストという独特のコストがあります。
貸金業であるが故のコストなのですが、一般の企業でいう所の貸倒引当金に近い性格です。
要は、「貸したお金が返ってこない確率」「お金をとりっぱぐれる確率」を費用として計上していきます。
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例えば、100社に100万円ずつ、年利3%で融資をしたとします。
全ての先が「正常先」という健全な格付で、倒産確率は2%とします。
但し、保全率(担保や保証協会等でカバーできている部分)は80%とし、差し引きで非保全率は20%とします。
上記のような場合、以下のように各項目を計算します。
・貸出金:総額100万円×100社=1億円
・年間の利息額:1億円×3%=300万円(※今回は返済による元本減少は考慮しない)
・信用コスト:1億円×倒産確率2%×非保全率20%=40万円
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つまり、利息で300万円稼いでも、信用コスト40万円分は常に費用として計算しており、差額の260万円しか稼げていないとみなしているのです。
その260万円から人件費や不動産関係費用などを支払い、残りが利益となります。
「信用コスト」は格付けが下がるほど上昇します。(倒産確率が上がるため)
また、無担保プロパーで融資しても上昇します。(非保全率が上がるため)
ですので、財務内容が悪い先には融資したくないし、保証協会などを利用しないプロパー融資は融資したくないというマインドになります。
地方銀行や信用金庫、信用組合などに運転資金の借入を申し出た際に、とりあえず「保証協会付き融資(マル保)」から提案されるのはこのためです。
このような背景を知らないまま、決算書などに無頓着でいるといつまでたってもプロパーでの融資は検討してもらえません。
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