
買掛金って何?起業1年目のあなたに贈るやさしい経理講座
こんにちは。起業コンサルタント(R)、税理士・社労士・行政書士・FPの中野裕哲です。
ズバリ言います。買掛金の管理を甘く見ると、資金繰りでつまずきます。特に創業1年目の個人事業主や起業家にとって、買掛金の理解と管理は、事業の安定と信頼に直結します。
「会計ソフトに入力しているから大丈夫」と思っていませんか? その仕組み、本当にわかっていますか?
今回は、そんなあなたのために、「買掛金」についてやさしく、そして実務に即して徹底的に解説します。
【本記事の想定読者】
このブログ記事は、以下のような方に向けて書いています:
38歳/元会社員(営業職)、現在は個人事業主
- Web制作やEC支援の業務で独立して1年目。
- 経理や資金繰りはまだ不安があるが、自分でしっかり把握したいという意欲がある。
- クラウド会計ソフトは導入済みだが、専門用語がしっくりこない。
- 売上は徐々に出てきたが、請求・支払管理に不安を感じている。
第1章 買掛金ってそもそも何?
買掛金とは、簡単に言えば「後払いの仕入代金」です。
例えば、Web制作を請け負っているあなたが、素材を仕入れるために外注先に発注したとしましょう。納品は済んだけれど、支払いは月末締め翌月末払い。この「支払い待ち」の状態が「買掛金」です。
つまり、
- モノやサービスを受け取った(=債務が発生)
- でも、まだ支払っていない
という状態。言い換えれば「ツケ払い」です。
第2章 買掛金が発生するタイミングと仕訳の基本
買掛金は「仕入(または外注費など)」の発生と同時に記録されます。
【仕訳例】
外注費 100,000円(借方)/ 買掛金 100,000円(貸方)
このように記帳することで、「まだ支払ってないけれど、将来的に支払いが必要なお金」が可視化されます。
そして支払日が来たら、次のように仕訳します:
【支払時の仕訳例】
買掛金 100,000円(借方)/ 普通預金 100,000円(貸方)
第3章 資金繰りと買掛金:命綱になる管理ポイント
さて、ここが一番大事です。
ズバリ言います。資金繰り表をつけていないと、買掛金の支払い忘れや、残高の誤認識が起こります。そして、気づいたときには「口座に残高が足りない!」という悲劇に直面することも。
買掛金の管理は、以下の3点がポイントです:
- 支払期日を一覧にする(エクセル・アプリなどで)
- 支払予定日ベースで資金繰り表を作成する
- 仕入れの段階で、その月の資金繰りに影響するかを考える
実際に現場でありがちなのが、売上入金の前に買掛金支払いが集中しているケース。これ、非常に危険です。
第4章 信頼される会社になるために
買掛金の支払いをきちんと守るということは、あなたの信用力に直結します。特に創業期には、仕入先や外注先との信頼関係構築が命。
「この人はちゃんと払ってくれる」
そう思ってもらえるだけで、取引がスムーズになり、条件面でも優遇される可能性が広がります。
逆に、
- 支払いが遅れる
- 督促されるまで忘れている
- 入金をあてにして支払えない
という状況が続くと、「この人とはもう取引したくないな」と思われてしまいます。
お金の管理は信用の管理でもあるのです。
第5章 クラウド会計ソフトを使っていても油断しない
「クラウド会計に入力してるから大丈夫」という方もいらっしゃるでしょう。
でも大切なのは「自分の頭で理解していること」です。
入力はAIに任せられても、経営判断はあなた自身がしなければなりません。
たとえば、
- 今月の買掛金はいくら?
- 来月、いくらキャッシュが出ていく?
- 支払いと入金のバランスは?
こういった質問に、すぐに答えられる状態が理想です。
第6章 よくある質問(FAQ)
Q1. 「買掛金」と「未払金」の違いは何ですか?
A. 「買掛金」は主に仕入れや外注など事業活動における費用に対する未払い。「未払金」は、備品購入や交通費精算など日常的な費用の未払いです。
Q2. 買掛金は現金主義では関係ないのですか?
A. はい、現金主義では支払ったときに記録します。ただし、法人は原則として発生主義で処理するため、買掛金の記録が必要です。
Q3. 買掛金の残高確認はどうやって行いますか?
A. 会計ソフトの「買掛金元帳」「補助元帳」を見るか、エクセルなどで管理台帳を作る方法があります。
おわりに
買掛金――一見地味な存在ですが、実は経営の根幹を支える大事なポイントです。
「お金を払うべき人に、適切なタイミングで、きちんと払う。」
これができる経営者は、間違いなく信用されますし、結果的に事業もうまくいきます。
ぜひ、今回の記事を参考に、あなたの経理力・経営力をワンランク上げていきましょう。
わからないことがあれば、お気軽にご相談くださいね。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。