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コラム

「資金繰りに困る前に読むべき!運転資金の確保術」

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はじめに:「運転資金」の正体、知っていますか?

こんにちは、中野です。

ズバリ言います。「黒字なのに潰れる会社」の多くは、運転資金の確保と管理が甘かったケースです。これは、私がこれまで数多くの経営相談を受けてきた中で、痛感している現実です。

たとえば、帳簿上は黒字でも、売掛金がなかなか入ってこない。その間に、仕入れや給料、家賃の支払いが迫り、気づけば資金が底をついてしまう…。そんな場面、あなたのまわりでも聞いたことがあるのではないでしょうか?

「運転資金って、仕入れの支払いや人件費のことだよね?」
——はい、間違ってはいません。でも、実はもっと奥深い世界なんです。

今回の記事では、「運転資金とは何か?」という基本から、「どうやって必要額を算出し、確保すればいいのか?」まで、経営者として最低限押さえておきたい“お金の基礎体力”について、やさしく、でもしっかりと解説していきます。


第1章 そもそも運転資金とは?

「運転資金」とは、読んで字のごとく、会社を“運転=回す”ために必要なお金。つまり、事業を止めずに動かし続けるためのお金をいいます。

あなたの会社が、売上を上げるまでに何が必要ですか? 商品の仕入れ? スタッフへの給料? チラシを打つ広告費? 店の電気代? それらすべてが「運転資金」です。

主な内訳を見てみましょう:

  • 仕入れ費用(原材料・商品など):在庫を抱えるビジネスでは特に大きな比率を占めます。

  • 人件費(給与・賞与・社会保険料など):売上がなくても、社員の生活は止まりません。

  • 家賃・光熱費:固定費の代表格。削りたくてもすぐには削れない。

  • 広告宣伝費:新しいお客様に出会うためのコスト。

つまり、「商品やサービスを提供して売上を得るまでの間に先行して出ていくお金」。これが運転資金の本質です。


第2章 運転資金が足りなくなるとどうなる?

運転資金が足りなくなると、最悪の場合、会社は「黒字倒産」してしまいます。

たとえばこんなケースです:

  • 売上は順調に伸びているが、取引先への売掛金の回収は60日後

  • 一方で、仕入れや給与は即日・月末払いが原則

  • クレジット決済やECの入金も月末締め翌月末払い…

結果、「今月の資金が足りない」状態に陥ります。

さらに怖いのは、資金繰りが苦しくなった時に、資材の発注が遅れ、納品も遅れ、お客様に迷惑がかかり、信用が落ちる…という“負の連鎖”が起きることです。1つの支払い遅延が、連鎖的に経営全体の信頼を失うことも。


第3章 いくらあれば安心?運転資金の目安

実務的には、「月商の2〜3ヶ月分」が一つの目安と言われています。

  • 月商300万円なら → 運転資金の目安は600万〜900万円

  • 月商500万円なら → 1,500万円程度あると安心

この数字を見て「そんなに必要なの!?」と驚かれた方もいるかもしれません。でもこれ、あくまで“何かあったときにも会社を止めずに回すための保険”のようなものなんです。

たとえば、急な売上減少や支払いサイトの遅れがあっても、2ヶ月分の運転資金があれば、冷静に対応策を打つ時間が確保できます。

また、業種によっても必要額は異なります:

  • 飲食店や小売業のように現金商売が多い業種 → 比較的少なめでもOK

  • BtoBで売掛金回収に時間がかかる業種 → 多めに持っておくのが吉


第4章 運転資金と設備資金の違い

ここで一度、よく混同される「設備資金」との違いを整理しておきましょう。

  • 設備資金:店舗内装費、機械、車両、システム導入など、会社の“モノ”に使うお金。将来の利益を生む“投資”の意味合いが強い。

  • 運転資金:日々の営業活動を“回す”ための資金。利益が出るまでの“つなぎ”として使われます。

たとえば「創業時に500万円借りた」と言っても、そのうち300万円は店舗内装に、残り200万円が運転資金として確保されていないと、「開業初月に資金が尽きる…」という事態にも。

融資申請の際にも、「設備資金」と「運転資金」をきっちり分けて記載することが求められますので、混同せずにしっかり区別しましょう。


第5章 運転資金の確保方法

「じゃあ、どうやって必要な運転資金を確保するの?」というお声にお応えして、現場で使える手法をご紹介します。

1. 売上入金を早める

  • 請求書の発行を早めに行う

  • クレジットやサブスク型(定額課金)を導入する

  • 売上回収に関するルールを社内で徹底する

2. 支払いを遅らせる

  • 仕入れ先に支払サイトの延長交渉をする

  • クレジットカードを活用し、実質的に支払い期日を延ばす

3. 公的制度を活用する

  • 日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」

  • 地方自治体の「制度融資」や「保証料補助」

4. 資金繰り表を作る

  • キャッシュフローを“見える化”する

  • 売上・支出の予定を月単位で予測する

  • 毎月の“資金残高”を把握しておくクセをつける


第6章 金融機関に運転資金を相談するときのコツ

金融機関に「運転資金の融資をお願いしたい」と相談するとき、ポイントは「使途の具体化」と「返済可能性の明示」です。

✗「なんとなくお金が足りないんです…」
◎「売掛金の回収が遅れており、2ヶ月分の仕入れ+給与をカバーするため、300万円必要です」

また、準備しておくと信頼度が上がる書類はこちら:

  • 資金繰り表(キャッシュフロー表)

  • 損益計算書(PL)

  • 事業計画書(今後の収支予測や売上計画)

  • 借入返済予定表(既存の借入がある場合)


FAQ:よくある質問

Q1. 運転資金って、そもそも自己資金で用意すべき?
→ 基本的には「自己資金+融資」のハイブリッド型が理想です。創業時は特に、運転資金まで自己資金でカバーするのは難しいため、融資も選択肢に。

Q2. 黒字なのに資金繰りが苦しいのはなぜ?
→ 売上の“計上”と“入金”のタイミングがズレているからです。帳簿上の黒字と実際のキャッシュは別物。これが「黒字倒産」の大きな原因。

Q3. 運転資金がショートしそうなときの対処法は?
→ まずは冷静に、資金繰り表で“どこが詰まっているのか”を確認。そのうえで、

  • 支払い期日の見直し

  • 仕入れの抑制

  • 一時的な短期借入
    などを組み合わせてしのぎます。


おわりに:運転資金は「命の水」

運転資金は、経営における“血液”であり“命の水”です。利益が出ていても、お金が手元にないだけで、会社は動かなくなります。

だからこそ、毎月のキャッシュフローを“見える化”しておくことが、経営の基盤を強くする第一歩です。感覚ではなく、数字で管理する。これは「数字に強い社長」になるための必須スキルでもあります。

そして、資金繰りに不安を感じたときは、迷わず相談してください。正しい手を早めに打つことで、結果は大きく変わります。

どうぞ、お気軽にご相談くださいね。あなたのビジネスが、安定した土台の上で大きく育ちますように。

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弊社では、中野裕哲を中心とした所属専門家チーム(起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士、中小企業診断士、FP、元日本政策金融公庫支店長、元経済産業省系補助金審査員など)が一丸となって、幅広い起業支援・経営支援を行っております。
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この記事を書いた人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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