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コラム

競業避止義務を知らずに独立すると危ない?起業家のための法務ガイド

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競業避止義務とは?起業前に知っておきたい経営者と従業員の重要ルール

はじめに

「会社を辞めて独立しようと思っているけど、同じ業種でやっても大丈夫?」

「社員が辞めたあと、うちと同じ事業を始めちゃったけど…これって問題?」

こういった疑問や不安、起業準備中の方やこれから従業員を雇う予定の方には、よくある話です。

ズバリ言います。

このときに知っておくべきキーワードが「競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)」です。

この記事では、競業避止義務の基本から、起業時に注意すべきこと、そして元社員や取締役とのトラブルを防ぐための対策まで、実務ベースでわかりやすく解説していきます。

競業避止義務とは?

意味と定義

競業避止義務とは、「会社に所属する人(役員・社員など)が、会社の利益と競合するような事業を勝手に始めたり、関与したりしてはいけない」というルールです。

この義務は、特に次のような立場の人に課される傾向があります:

  • 取締役・代表取締役
  • 従業員(使用者)
  • 顧問や社外役員

なぜ競業避止義務が必要なのか?

会社が長年築いてきた「営業秘密」や「顧客情報」を、内部の人間が持ち出して競合他社になったら…。

これは会社にとって重大な損害になりますよね。

競業避止義務は、そのような“信頼関係の崩壊”を防ぐために設けられているのです。

法律上の位置づけ

競業避止義務は、会社法や民法、労働契約の解釈に基づいて判断されます。

取締役の場合

会社法第356条第1項第1号により、取締役は「会社と競業する取引」をするには、株主総会の承認が必要とされています。無断で競業すると、「任務懈怠」とされ、損害賠償の対象になる可能性も。

従業員の場合

明文化された法律はないものの、就業規則や雇用契約により「合理的な範囲で」競業避止義務が認められるとされています。

ただし、過度な制限は「職業選択の自由(憲法第22条)」に抵触するため、注意が必要です。

実務上での適用例とトラブル事例

ケース1:元役員が退任後に競合会社を設立

→ 株主総会の承認がなかった場合、会社から損害賠償請求をできる可能性あり。

ケース2:営業社員が顧客リストを持ち出して独立開業

→ 秘密保持契約がある場合、違反として損害賠償や差止請求が可能。

ケース3:在職中に副業で競合サービスを運営

→ 就業規則に「競業禁止条項」があれば懲戒解雇の可能性も。

起業時に注意すべきポイント

これから起業する方が特に気をつけたいのは以下の3点です:

① 前職の競業避止義務があるか?

  • 就業規則や雇用契約をチェック
  • 「退職後◯年間は同業での開業を禁ずる」などの文言がある場合は要注意

② 契約期間・地域・業種の妥当性

  • 一般的に、期間は2年以内、地域は限定的、業種は同一内容に限定されるのが合理的とされています

③ 書面で明確化されているか?

  • 曖昧な口約束ではなく、書面で明確になっているかどうかが重要です

経営者として採用後に行うべき対応

将来、あなたが従業員を雇う立場になったときにも、競業避止義務の設定は重要な課題になります。

対策1:雇用契約書に競業禁止条項を盛り込む

  • 期間・地域・対象業種を明確に設定
  • 「営業秘密の持ち出し禁止」なども一緒に記載

対策2:秘密保持契約(NDA)を締結

  • 特に営業職や開発職などには必須
  • 法的な抑止力を高めることができます

対策3:会社資産の取り扱いを明確化

  • 顧客リスト、ノウハウ、資料などの管理体制を整備しておくこと

よくある質問(FAQ)

Q. 前職に競業避止義務があるのに起業したらどうなる?

A. 契約内容次第ですが、違反したと認定されると損害賠償を請求される可能性があります。事前に弁護士等に確認することをおすすめします。

Q. 競業禁止の期間や地域はどこまで有効?

A. 一般的に「期間は2年以内」「地域は現勤務先の営業エリア内」「業種は同一業務に限る」が合理的とされ、過度な制限は無効と判断されることがあります。

Q. 副業で同業他社の業務を行うと競業避止義務に違反しますか?

A. 会社の就業規則で禁止されていれば違反となる可能性が高いです。会社に相談せずに行うのは避けましょう。

Q. 契約書がなくても競業避止義務は適用されますか?

A. 雇用契約や会社法により、書面がなくても一定の義務が認められる場合があります。ただし、トラブルを防ぐには書面化が望ましいです。

まとめ:信頼される起業家になるために

競業避止義務は、一見すると「ややこしい制限」に思えるかもしれませんが、会社経営において“信頼関係を守るための基本ルール”です。

これをしっかり理解している起業家は、

  • 投資家や取引先からも信頼されやすい
  • 社員とのトラブルを未然に防げる
  • 自分自身の行動にも安心感を持てる

といったメリットがあります。

起業前の今だからこそ、こうした「経営のルール」を一歩ずつ学び、将来に備えておきましょう。

不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。あなたの安心起業を全力で応援しています!

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この記事を書いた人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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