
いまさら聞けない「ザイオンス効果」ってなに?──接触が「好感」を生む心理のメカニズム
こんにちは、起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士の中野裕哲です。
営業・マーケティング・ブランディングを考えるとき、「なぜあの人を見ると安心するの?」「会う回数が増えると信頼が深まるのはどうして?」――こうした疑問には、心理学の「ザイオンス効果(単純接触効果)」が関わっています。今回は、その原理とスマートな使い方、注意点を実務視点でわかりやすく整理します。
① ザイオンス効果とは?──ただ「何度も接する」と好感が生まれる心理
ザイオンス効果とは、同じ人・物・情報に繰り返し接することで、その対象に対して好印象が強まる心理現象です。心理学では “mere-exposure effect” と呼ばれ、1960年代に提唱されました。
たとえば:
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毎日通う常連の店員さんに親しみを感じる
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同じCMを何度も見るうちに、商品が好きになる
こういう経験をしたことはありませんか?それがまさにザイオンス効果です。
② なぜ接触回数が印象を左右するのか?
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警戒心が薄れて安心感が芽生える
人は初対面では慎重ですが、何度も会うと「悪い人ではなさそう」と信頼が芽生えます。 -
処理しやすさが心地よさに変わる
視覚や聴覚に馴染むと、「なじみやすい」「親近感を持てる」ようになります。 -
無意識でも馴染むものを好ましく感じる
よく見聞きするものほど、選びやすく感じる心理が働いているのです。
③ 日常とビジネスの活用例
A. 顧客との信頼構築
名刺交換だけで終わらず、挨拶メールやセミナー案内、フォローで複数回接触することで、「安心できる人」と思ってもらいやすくなります。営業マンが足繁く通うのもこのためです。
B. ブランド認知と広告展開
テレビCM、Web広告、SNS投稿などで接触回数を増やすと、商品やサービスの印象が良くなる傾向があります。
C. 社内文化の定着
定例会・研修・社内報などで同じメッセージを繰り返すと、「それ、大切でしたよね」と自然に習慣化しやすくなります。
④ ザイオンス効果を設計しやすくする3つのコツ
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接触の機会を設計する
面談→メール→セミナー→商品レビューと、段階的な接触を意図的に組み込みましょう。 -
繰り返しの内容に少しずつ変化を
挨拶内容・旬の話題・感謝の言葉など、毎回少しずつ内容を変えて興味を維持します。 -
適度なペースと頻度を守る
頻繁すぎると「しつこい」、少なすぎると「忘れられる」。相手との関係性に応じたリズムを意識しましょう。
⑤ 注意すべきポイント
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ネガティブな接触には逆効果
初印象が悪い相手に何度も会うと、嫌悪感が強まる傾向があります。 -
度が過ぎると飽きにつながる
何十回も同じ広告や連絡を送ると、反発や無視されるリスクもあります。 -
一貫性がないと効果が分散する
ロゴ・カラー・ブランドメッセージが都度変わると、印象が定まりません。
⑥ さらに効果を高める活用術
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複数チャネルで接触を広げる
対面、メール、SNS、広告などを組み合わせて多角的に接触することで“なじみ感”が増します。 -
ストーリーやエピソードで記憶に残す
毎回、顧客の声や成功事例、ちょっとした出来事を添えることで、「単なる繰り返し」以上の感情を引き出せます。 -
決定タイミングで再接触を狙う
お問い合わせ後・申し込み直前など、「覚えているから信頼できる」と思ってもらうタイミングで接触すると効果的です。
■まとめ:ザイオンス効果は“接触デザイン”の基本
ザイオンス効果とは、繰り返しの接触が無意識に好感や信頼を生み出す力。営業、マーケティングなど、さまざまな場面で意図的に使うことで、好意的な印象を醸成できます。
ただし、
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接触回数や頻度のバランス
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接触内容の質と多様性
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ネガティブな印象との相殺
には注意が必要です。
「どれくらいの頻度が適切?」「どんなメッセージなら続けやすい?」といった相談にも乗れますので、お気軽にご相談ください。
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無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。