
税理士の顧問料、どうやって調べたらいい?──相場を知って安心・納得の選び方
「税理士を探していて、顧問料の相場ってどのくらいなんだろう?」そんな不安は多くの方が感じるものです。料金が高すぎても困るし、安すぎると品質に不安が…。そこで本記事では、顧問料の相場を調べる4つのステップと、調べ方のコツを実務的に解説します。
① 自社の状況を整理:まずは前提条件を明確に
調べる前に、まずは自社の規模・業態・業務内容を整理しましょう。
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社員数(役員・従業員・アルバイトなど含む)
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年間売上規模
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月次処理の有無(記帳代行の有無など)
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経理アウトソースの範囲(経費精算・届出など)
この整理があると、比較すべき範囲が明確になり、相場の理解がしやすくなります。
② 料金情報は複数の方法で収集しよう
A. ウェブサイトの料金表から把握する
多くの税理士事務所は、ホームページ上に顧問料のプランを掲載しています。
たとえば、「月額3万円/売上1,000万円未満・記帳代行込み」のように書かれていますので、自社条件に近い事務所を複数比較してみるとよいでしょう。
B. 比較サイトを活用する
「税理士 比較」「税理士 顧問料 相場」などで検索すると、地域・業種別の相場分析やランキングが掲載されたサイトも見つかります。※価格帯や条件別(個人事業者/法人・従業員10人以下など)に区分された情報が参考になります。
C. フリーランス・事業者の口コミやオンラインフォーラム
ネット上では、実際に契約した人の声も参考になります。
特に「月額○万円でどこまで対応してもらえるか?」「追加料金がどれくらい発生したか?」といったリアルな声は、相場の裏にある実態を知る上で非常に貴重です。
③ 相場感を知る:ケース別の目安を掴む
調べた情報を基に、一般的な相場感を整理しておくと比較しやすいです。
業種・規模 | 月額相場 | 年間決算料 | コメント |
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個人事業主(白色・年間売上500万円未満) | 1〜2万円 | 5〜7万円 | 経理セルフの場合の基本顧問料 |
青色申告・記帳代行含む個人事業 | 2〜4万円 | 7〜18万円 | 節税相談・青色申告対応込み |
法人(売上1,000万円未満) | 3〜6万円 | 10〜25万円 | 毎月の試算表作成から相談まで含む |
法人(売上数千万円〜) | 5〜10万円 | 15〜35万円+ | 毎月の試算表作成から相談まで含む |
※あくまでも一般的な目安です。地域や業種、対応内容によります。
④ 比較時の注目ポイントは“何を含むか”
同じ料金でも、含まれているサービス内容が違うことが多いので、以下をチェックしましょう。
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記帳代行の有無(自分で入力するかどうか)
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試算表の受け取り頻度(毎月・隔月・年に数回)
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相談可能な頻度・範囲(電話・メール・スポットなど、相談許容回数)
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融資・補助金・資金繰り支援などのオプション業務が対応可能か
単に安いだけでなく、自社に必要な内容がどこまでカバーされているかがポイントです。
⑤ 見積もり依頼のコツ──比較に必要な情報提供とは?
複数の税理士に見積もり依頼する場合は、以下を共有しましょう。
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決算・売上規模
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従業員人数・給与計算頻度
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会計ソフトの使用状況(freee・弥生など)→対応可能か?
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現在の経理フロー、相談したい内容
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希望する打合せスタイル(オンライン/対面)
- 以前の税理士への依頼範囲や内容、解約した(解約したい)理由
このように具体的な資料を事前に渡すことで、見積もりが比較しやすくなります。
⑥ 契約時に確認したい“見落としやすい条件”
顧問契約書に書かれていない部分で要注意ポイントがいくつかあります:
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窓口担当者の変動(担当者が変わる頻度)
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スポット相談料の単価(日数契約・時間制など)
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決算・申告後のサポート(税務調査対応などは可能か、別料金ならいくらか)
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契約期間と中途解約条項(解約時に違約金があるか?)
こうした点を確認し、「顧問料だけ」でなく「トータルコスト」で判断する力が重要です。
⑦ 相場外の料金提示を受けたら?
見積もりが相場より大きく外れている場合、確認したいこと:
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自社条件と内容が違うのか
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「試算表なし」「スポット相談のみ」など実質的にサービスが少ないのではないか
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高価格に対する説明がきちんとしているか(専門性・支援体制・即時対応など)
- むしろ今の税理士が安すぎる可能性は?
納得感が得られなければ、無理に契約する必要はありません。
⑧ 相場感と相性のバランスで選ぶべき
最終的には、「料金の安さ」だけでなく、「自社が必要とする支援を、相性よく提供してくれるか」も大切です。
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定期相談+試算表+記帳割引で月額4万円の先生
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スポット相談中心+資料準備費用で月額3万円の先生
この2者を比較すると、一見すると高いプランでも本当に必要なものが含まれているならコスパが良い判断になることがあります。
⑨「専門性の高さ」や「守備範囲の広さ」もよく確認
さらに見逃せないポイントがもうひとつ。それは、事務所が対応できる業務の「専門性の高さ」や「守備範囲の広さ」も含めて判断するという視点です。
たとえば、単に記帳や申告だけでなく、
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創業支援や資金調達のサポートが得意(元金融機関出身の専門家が在籍している)
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補助金・助成金の申請サポートに詳しい(中小企業診断士も在籍している)
- 社会保険や労務に関してもワンストップで相談できる(社労士法人も併設している)
といったように、一歩踏み込んだ経営支援まで担ってくれる税理士事務所は、結果的に「税務+経営のパートナー」として非常に頼もしい存在になります。
顧問料の金額だけでなく、「この事務所は、今後の成長にどう寄り添ってくれるか?」という視点も大切にして、総合的に判断することをおすすめします。
✅ まとめ:顧問料相場の賢い調べ方と選び方
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まずは自社条件を整理(売上・業務内容・支援の範囲)
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複数の料金例を比較する(HP、比較サイト、口コミ)
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表にまとめて相場感を可視化(月額・決算料・試算頻度など)
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見積もり依頼時は詳細情報を共有し、見える化
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契約前に見落としやすい項目を確認(スポット料、解約条件など)
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料金とサービス・相性の両方から総合的に比較する
- 経営自体に対するコンサル、財務コンサル、ワンストップソリューションなど、他にはないサービスの存在を確認
顧問料は単なる数字ではなく、「安心して任せられるパートナーの基準」です。相場を把握しながら、自社に本当に合った税理士との出会いを目指してください。
比較や条件整理に迷ったときは、いつでもお気軽にご相談くださいね!
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起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。