
BtoBとBtoC──起業で成功するにはどちらがいい?
起業を考えるとき、「相手が法人か個人か」の選び方はとても重要です。
BtoB(Business to Business)かBtoC(Business to Consumer)か、それぞれの特性を理解して、自分の強みや資金、目指すライフスタイルに合った選択をすることが、成功の第一歩となります。
① 成功しやすいか?──ターゲットの違い
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BtoBは「法人や事業者」を対象にする事業。高額な契約、継続受注、大口の取引が期待できます。解決すべき課題が明確なため、価値提供がしやすい業界も多いです。
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BtoCは「個人顧客」を対象とする事業。顧客数が多く、市場が広いので、ヒットすれば急成長が狙えます。ただし、競争やトレンドへの対応が求められる場面が多く、広告コストもかかります。
② 初期コスト・営業スタイル
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BtoBの特徴
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営業先は少数精鋭、1社あたりの単価が高い
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商談→提案→受注まで数カ月〜半年程度かかるケースも
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セールスやリレーション構築には人的リソースが必要
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BtoCの特徴
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顧客が多いためマーケティングや広告が重要
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インターネット広告やSNS、ECサイトなど販路が多い
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個人の購買意欲を引き出す仕組み作りが鍵
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③ 安定性と収益モデルの違い
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BtoB
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継続契約やリピート契約が取れれば、売上は安定しやすい
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顧客数が数十社でも、黒字化・成長が可能
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信頼関係が重要で、契約獲得後は長い付き合いが始まる
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BtoC
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ボリューム型ビジネスなので、数千・数万の顧客が必要
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製品ライフサイクルやトレンドの変化が利益に影響
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市場変化に対応するスピードが求められます
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④ 利益率と価格設定
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BtoB
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提案内容に応じた価格設定が可能
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粗利率は40~70%と高い傾向(ITやコンサル系は特に)
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見積もりにカスタマイズコストを上乗せしやすく、価格競争も少ない
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BtoC
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単価は低め、粗利率も商品や業態により30~50%程度
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ボリュームでの勝負となり、広告費対効果が鍵
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トレンドや顧客評価により地合いが変動しやすい
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⑤ 成功しやすい業種・領域の傾向
タイプ | 向いている業種 |
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BtoB | 専門性が活きる領域(会計、IT、法務、教育、業務効率化等) |
BtoC | 購買頻度や感性が入りやすい領域(EC、体験型、健康・美容、ライフスタイル商品等) |
自分の知識・経験が活かせる分野か、得意な販売方法はどちらか、も判断材料になります。
⑥ 起業家自身のライフスタイルにも影響する
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BtoB起業
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営業・提案・プロジェクト管理・顧客フォローが中心
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対法人故にビジネスパーソン色が強い
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曜日・時間の制限が少ないが、契約や納期には責任が伴います
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BtoC起業
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顧客対応やサービス提供、販売、SNS発信など日々の業務が細かい
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多くの顧客と関わるため、臨機応変さや感性が重要
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土日・祝日対応が発生しやすい業種もあります
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⑦ 比較まとめ
観点 | BtoB | BtoC |
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顧客数 | 少数精鋭 | 多数の顧客 |
単価/粗利 | 高め|高粗利 | 低〜中程度 |
営業 | 提案型営業 | 広告・マーケ |
安定性 | 契約継続性が高い | トレンドやボリュームで変動 |
初期コスト | 商談・人件費など | 広告費・仕入れなど |
成長スピード | 穏やか | ヒット次第で急拡大可 |
オーナー像 | B2B営業・管理型 | B2Cマーケ型 |
⑧ BtoBとBtoCのハイブリッドも選択肢
両者を組み合わせる戦略もあります。
たとえば、BtoBの法人向けサービスが軌道に乗った後、個人向けプランを展開する、というように。
または、先にECやFCで集客力をつけ、それを法人用の提供に展開するパターンも増えています。
―攻め方にも幅を持たせることで、経営基盤を強くしていくことが可能です。
⑨ 選び方のチェックリスト
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自分の経験やスキルは、法人向けか個人向けどちらが活かせる?
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初期資金や資金繰りはどちらの方が無理がない?
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顧客数とリピート頻度の見込みは?
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販売チャネルは構築しやすいか?プロモーションの自信は?営業の自信は?
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自分らしい働き方・ライフスタイルに合っているか?
この5つの視点で、自分に合ったモデルが見えてきます。
まとめ:どちらが成功しやすい?自分にフィットした道を選ぶことが結局のカギ
BtoBかBtoCか、どちらが成功しやすいかは「万人向けの正解」はありません。
大切なのは、自分の専門性・資金・リソース・働き方に合った道を選ぶことです。
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安定×高単価×継続収益を狙うなら BtoB
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顧客ボリューム×マーケ力×スピード拡大を狙うなら BtoC
いずれであっても、計画と実行を伴う堅実な準備が重要です。
どちらを選ぶか迷っている方は、具体的なビジネスモデルやリソース感に応じたアドバイスも可能です。いつでもお気軽にご相談くださいね!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。