
ビジネス街に出店するメリット・デメリット──戦略的に設計することが成功への近道
「オフィス街に店を出せば、お昼時に人がいっぱい来るだろう」
確かにその通りですが、成功には「環境に合わせた設計と戦略」が必要です。今回は、出店を真剣に検討する方向けに、メリット・デメリット、業態別戦略、成功のポイントを整理しました。
1.ビジネス街出店のメリット
① 高頻度の集客チャンス
オフィスワーカーが多いため、平日のランチ・休憩・アフター5狙いの来店が見込めます。特にランチタイムは高い回転率が期待でき、効率的な売上構築が可能です。
② 客単価設定に余地あり
働く人向けなので、手軽なランチ500円から、ちょっと贅沢な夜の1,000〜2,500円帯まで、価格帯に幅があるのが魅力です。高付加価値化しやすい業種です。
③ 安定した平日需要
ビジネス街は土日よりむしろ平日中心の消費。曜日ごとのばらつきが少ないというメリットがあります。安定性が経営の安心感につながります。
④ 周辺オフィスとの連携がしやすい
オフィスや企業と直接提携して、会議用お昼弁当・ケータリング対応・交流イベントなどの提供が可能です。卸しや団体営業の道が広がります。
2.ビジネス街出店のデメリット
① 家賃や原価、人件費が高め
好立地である分、賃料が高く、利益率を下げるリスクも高いです。ランチタイムの人件集中、夜間営業の光熱費などコスト管理が重要になります。
② 営業時間が限定的
平日ランチ〜アフター5を中心とした時間設定が主流です。土日祝は閑散化しやすく、+α戦略がないと稼働率が下がります。
③ 競合が多いシビアな市場
チェーン店や専門店が集中する分、価格・味・提供スピード・ブランドの違いが業績を左右しやすくなります。差別化が必須です。
④ 店舗設計やオペレーションの厳格さが必要
回転重視型店舗は、導線・設備・厨房・レジフローなどの最適化設計が不可欠。設計ミスは客の離反やクレームにつながります。
3.出店前に確認すべきポイント
チェック項目 | 内容 |
---|---|
立地の属性 | ビル内オフィス規模・通勤者数・周辺施設は? |
過去の利用動線 | 「昼どきになると○○人が通る」動きが読めるか |
ペルソナ設計 | 働く人の特性(年代・性別・業種)に合う業態か |
必要な席数・回転数 | 自分の収支モデルから逆算する |
競合リサーチ | 他店の価格・コンセプトと差別化できているか |
4.業態別おすすめ戦略
✔ ランチ専門カフェ・定食屋
回転重視、定期来店促進(セットメニューまたは読み物付き)、スムーズなオペレーション設計がポイント。
✔ デリバリー・ケータリング
オフィスへの注文に、定期供給契約を組み込んで安定経営に結び付ける。
✔ 夜限定の居酒屋やバー
平日夜・週末に限定したサービス展開で、戦略的時間設計と立ち上げ費用の最小化を狙う。
✔ 物販・サービス併設店舗
PC修理・文具店・クリーニング・英会話など、業務ニーズに直結した商材やサービス展開も有効です。
5.成功する出店に共通する工夫
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“隙間時間”に焦点を当てた導線設計
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BtoBサービスとの掛け合わせ提供
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回転率を高める効率的オペレーション
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差別化されたクオリティ or コンセプト
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テスト営業で実績を確認
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リアルタイムな収支・原価・客数管理
6.“飽きさせない工夫”がリピーターを育てるカギ
ビジネス街では、毎日同じ通勤ルート・同じ人の往来が中心となるため、いかに飽きさせず、また来たいと思わせるかが非常に重要です。
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週替わりメニューや季節の限定企画
ランチやサービスの内容に変化を持たせることで、常連客も新鮮な気持ちで訪れてくれます。 -
スタッフとの会話・接客の“温度感”
忙しい中でも「お疲れ様です!」の一言や、顔なじみの接客は、心の癒やしとなり、職場の“心の拠り所”としての存在価値を高めます。 -
地域貢献やビル連携イベントの実施
周辺の企業と連携して、ビル全体でランチフェアをしたり、ビジネス向け勉強会を主催したりすることで、認知と信頼が広がります。
こうした細やかな工夫の積み重ねが、競合の中でも“選ばれる店”になる秘訣です。ビジネス街の特性を理解し、来店者の生活リズムや感情に寄り添った戦略で、あなたの店舗も着実に成長できます。
7.まとめ──戦略的に“人が働く街”を味方にする
ビジネス街出店は、高い集客可能性と価格帯の柔軟性が魅力ですが、その分コスト・運営・差別化に注意が必要です。
「なぜその立地を選ぶのか」「誰に対して何を提供できるのか」を言語化し、業態設計・動線・収支・競合目線を抜かりなく準備しましょう。
もし方向性に迷ったら、業態設計、コストの見直し、収支モデルの整理まで一緒に支援できます。あなたのビジネス街出店が、安心して長く続く成功へと育つよう、全力で応援します!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。