
インボイス制度、始まる!登録の前に押さえておくべき基本と注意点
こんにちは!起業コンサルタント、中野裕哲です。2023年10月から始まったインボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)、みなさん、もう対応はお済みでしょうか?
「対応しなきゃとは思ってるけど、どうしていいかわからない」 「登録番号ってなに?請求書も変えなきゃいけないの?」
…そんな声、日々の相談現場でもよく耳にします。SNSでも、 「顧問税理士が教えてくれない!」 「焦って登録したけど、ちゃんと対応できているか不安…」 といった声が飛び交っています。
今回は、そんな皆さんの不安を安心に変えるべく、「インボイス制度に登録することで、いったい何が変わるのか?」という視点から、登録済みの方もこれから登録する方も一緒に押さえておきたいポイントを、丁寧に解説していきます。
インボイス制度とは?基本からおさらい!
まず、「インボイス」とは何かというところから確認しておきましょう。
インボイス制度とは、「消費税の仕入税額控除」を受けるために、一定の要件を満たした請求書(=インボイス)を保存する必要があるという制度です。
このインボイスには、以下の6つの項目が必ず記載されていなければなりません。
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適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号
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取引年月日
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取引内容(軽減税率対象の場合はその旨も記載)
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税率ごとの税抜価額または税込価額の合計
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消費税額等
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書類の交付を受ける側の氏名または名称
つまり、これまでの請求書と比べて「登録番号の記載」「税率区分ごとの合計記載」「消費税額の明記」などが求められるようになったわけです。
登録すれば、誰でもインボイスが発行できるの?
ズバリ言いますと、「インボイスを発行できるのは登録事業者だけ」です。
2023年10月以降、仕入税額控除を行うには、相手方から受け取った請求書が「インボイス」である必要があります。つまり、買い手にとっては、インボイスが発行できるかどうかが仕入先選定の条件にもなりうるのです。
登録によって発生する義務とは?
インボイス制度に登録すると、次のような義務が発生します。
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一定の要件を満たすインボイスを発行しなければならない
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保存義務のある書類は、法定期間(原則7年)保存しなければならない
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原則として課税事業者になり、消費税の申告・納付義務が発生する
特に注意すべきは、今まで免税事業者だった方。登録することで、自動的に課税事業者となるため、納税義務が発生します。ここは要注意ポイントです!
インボイス対応で変わる実務ポイント
実務上、請求書などの書式変更も必要になるケースが多くあります。
たとえば、品目ごとに消費税を計算していた場合、インボイス制度では税率ごとの合計額に対して一括で税額を計算する方式に変更しなければなりません。請求書テンプレートを見直す必要があるわけです。
登録すべきかどうかの判断軸
「登録しないと取引を打ち切られるかもしれない」
…こんな不安を抱えている方も多いかと思います。
ポイントは、「取引先の要望」と「納税負担のバランス」です。
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主な取引先が法人や課税事業者で、仕入税額控除が重要な場合は、登録が求められやすい
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一方で、顧客が一般消費者メイン(BtoC業態)の場合は、登録しなくても問題ないケースも
将来的なビジネス展開を踏まえて、総合的に判断することが大切です。
FAQ:よくあるご質問
Q1:登録しないと罰則はありますか? A1:現時点では「登録しない=罰則がある」わけではありません。ただし、取引先との関係に影響が出る可能性があります。
Q2:一度登録したら取り消しはできませんか? A2:取り消しは可能ですが、一定の手続きが必要で、翌課税期間からの適用となります。
Q3:売上が少なくても登録すべき? A3:売上の規模よりも「取引先の属性(課税事業者かどうか)」によって判断した方がよいでしょう。
最後に:焦らず、でも後回しにしない!
インボイス制度は、「知らなかった」では済まされない実務の変更が伴います。
一方で、「なんとなく不安だから登録しておこう」というのも、思わぬ納税義務を生んでしまう落とし穴があります。
ズバリ言います。いま必要なのは、
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自社の取引形態を整理すること
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将来のビジネス展開をイメージすること
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専門家のサポートを受けること
どうしても迷った場合は、信頼できる専門家に相談しましょう。顧問税理士が頼りにならない…という場合は、セカンドオピニオンとしての相談も視野に入れてくださいね。
不安を安心に変えるには、まず「知ること」から。
一歩ずつ、一緒に進んでいきましょう!