
新事業進出補助金でキッチンカー導入は可能か?
目次
はじめに|キッチンカーと新事業進出補助金の関係
新事業進出補助金を活用して、キッチンカー事業にチャレンジしたいというご相談が増えています。
本記事では、前身である事業再構築補助金の取り扱いを参考にしつつ、
「キッチンカーのどの部分が補助対象になり得るのか」をわかりやすく整理します。
なお、新事業進出補助金の詳細は今後変更・更新される可能性があります。
ここでお伝えする内容はあくまで「考え方の整理」としてご覧いただき、
実際の申請にあたっては、最新の公募要領や事務局情報の確認を前提にしてください。
キッチンカー導入は補助金の対象になるのか
まず結論から言うと、キッチンカーに関する費用の一部は補助対象となり得ますが、すべてが対象になるわけではありません。
特に重要なのは、次の切り分けです。
- キッチンカー本体(車両部分):原則、補助対象外
- キッチンカーに搭載する調理設備・内装・看板等:対象になり得る
このように、「車両」なのか「設備・備品」なのかで取り扱いが大きく変わる点がポイントです。
キッチンカーで対象になり得る主な経費
ここからは、キッチンカー事業で補助対象になり得る典型的な経費を整理していきます。
1. キッチンカーの設備導入(車両とは区分)
新事業進出補助金では、キッチンカー本体の車両購入は補助対象外とされる想定です。
そのため、次のような「設備部分」として区分される費用が対象になり得ます。
- 車内の調理設備(コンロ、オーブン、冷蔵庫、シンク 等)
- 給排水設備や配管工事
- 電源設備・照明などの電気工事
- カウンター・棚などの内装造作
重要なのは、車両本体の価格とは分けて見積書・請求書を作成することです。
一体で記載されていると、全額が車両として扱われてしまうリスクがあります。
2. メニュー表や看板(販路開拓・広報関連)
キッチンカーの集客に欠かせないのが、メニュー表や看板です。
新事業進出補助金でも、販路開拓・広報費として、次のような費用が対象になり得ます。
- メニュー表のデザイン・制作費
- メニュー表の印刷費
- 店頭のA看板・突出し看板・タペストリー等の製作費
キッチンカーは場所が変わる業態であるため、視認性の高い看板・メニュー表は非常に重要な投資です。
補助金を活用して、ブランドイメージを統一したデザインを整えるのも有効です。
3. HP(ホームページ)の作成費用
新事業進出補助金では、補助事業に関連するHP制作が対象となり得ます。
一方で、「会社の一般的なコーポレートサイト(カンパニーページ)」のみを作る場合は対象外となる可能性があります。
キッチンカー事業の場合、以下の内容を含む「事業用サイト」であれば、対象として認められやすいイメージです。
- キッチンカーのコンセプト・メニュー紹介
- 出店予定スケジュール・場所のお知らせ
- SNSとの連携(Instagram・Xなど)
- 予約・問い合わせフォーム
ポイント:「補助事業で新たに始めるキッチンカー事業の情報発信に必要なページかどうか」が重要です。
キッチンカー本体が対象外となる理由
キッチンカーの導入について、多くの方がまず知りたいのが「車両本体はダメなの?」という点です。
現時点の想定では、キッチンカーの車両部分は補助金の対象外となります。
これは、前身の事業再構築補助金でも同様で、自動車・車両本体は対象外資産として扱われるケースが一般的だったためです。
そのため、実務上は次のような対応が必要になります。
- 車両本体:自己資金や融資等で対応
- 車内設備・内装工事・看板・HP等:補助対象経費として整理
この区分が曖昧になっていると、補助事業として認められない経費が発生したり、修正を求められたりするリスクがあるため注意が必要です。
キッチンカー事業で補助金を活用するメリット
キッチンカーは初期費用を抑えて飲食事業を始められる一方で、次のような特徴があります。
- 天候やイベント規模など、外部要因で売上が変動しやすい
- 出店場所の確保やロケーションの当たり外れによって集客が変わる
- 開業当初は固定のファンが少なく、売上が安定しにくい
そのため、設備や広報の初期投資を補助金で一部カバーできれば、運転資金に余裕を持たせやすいという大きなメリットがあります。
「車両は自前で用意し、補助金で内装・設備・広報を固める」という戦略は、キッチンカーの立ち上げにおいて有効な選択肢と言えるでしょう。
認定支援機関を活用するメリット
新事業進出補助金を含む多くの補助金では、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)と連携することが推奨されています。
1. 専門家のアドバイスが受けられる
認定支援機関の専門家は、補助金申請の経験が豊富です。
キッチンカー事業についても、
- どの経費を補助対象として整理すべきか
- どう事業計画に落とし込むか
- 他の飲食店・移動販売との違いをどう打ち出すか
といった点について具体的なアドバイスが受けられます。
その結果として、事業計画の質が向上し、採択率アップにつながる可能性があります。
2. 金融機関との連携(つなぎ融資など)
多くの補助金は後払い(精算払い)のため、先に自己資金や融資で支出を行い、後から補助金が振り込まれる仕組みです。
このため、どうしても資金繰りの山が発生します。
認定支援機関によっては、金融機関と連携して「つなぎ融資」を提案してくれる場合もあります。
「補助金は採択されたけれど、お金が出てくるまでの資金が足りない」という状況を避けるうえでも、専門家のサポートは非常に有効です。
補助金申請は、書類作成・事業計画・資金繰りなど、多くの要素が絡む複雑なプロセスです。
認定支援機関と連携することで、一人で抱え込まずに、プロと一緒に進められるという安心感も大きなメリットと言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. キッチンカーのリース費用は補助対象になりますか?
現時点の基本的な考え方として、車両部分は対象外と想定されます。
ただし、具体的な取り扱いは公募要領により異なるため、最新情報と専門家の確認が必須です。
Q2. 中古のキッチンカーを購入する場合でも、設備部分は対象になりますか?
「車両」と「設備」が明確に区分され、設備部分の価格が見積書等で分かれていれば、対象になり得る可能性はあります。
ただし、実際の判断は制度の詳細と事務局の解釈によるため、必ず事前に確認してください。
Q3. 既存店舗を持っていて、追加でキッチンカーを導入する場合も申請できますか?
新事業進出補助金の趣旨に合致すれば、新たな販路・新事業としての位置づけで申請を検討できる可能性があります。
ただし、既存事業との違い・新規性の説明が重要になります。
Q4. HP制作はどこまでが「補助事業に関するHP」とみなされますか?
キッチンカーの事業内容・出店情報・メニュー紹介など、補助事業で行う新たな取り組みに密接に関連する内容が中心となっていれば、対象になり得ます。
一方、単なる企業概要のみのページは対象外となる可能性が高いです。
Q5. 申請を検討するタイミングで、最初に何をすべきですか?
まずは最新の公募要領を確認し、そのうえで認定支援機関や専門家に相談することをおすすめします。
キッチンカーの導入内容・場所・売上計画・資金計画などを事前に整理しておくと、相談がスムーズです。
まとめ
新事業進出補助金を活用したキッチンカー導入は、「車両は対象外、設備・広報は対象になり得る」という前提で考えることが重要です。
- キッチンカー本体(車両部分)は補助対象外となる想定
- 内装・調理設備・看板・メニュー表・HPなどは対象になり得る
- 車両と設備を見積書・請求書上で明確に区分することが重要
- 補助金は後払いのため、資金繰りとつなぎ融資もセットで検討する必要がある
- 認定支援機関と連携することで、採択率アップと資金計画面の安心を得られる
新事業進出補助金の詳細は今後も更新される可能性があります。
キッチンカー事業を本気で検討している方は、最新情報のチェックと専門家への相談を組み合わせて、賢く制度を活用していきましょう。

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。


























