
インタレスト・カバレッジ・レシオって何?!借入経営に必要な「利息カバー力」とは
「借入金の利息、ちゃんと払えてるのかな?」
そんなとき、経営の健全性を測るバロメーターとして知っておきたいのが「インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)」という指標です。
ちょっとカタカナが難しそうですが、実はとても実務的で、起業家にもやさしい考え方なんです。今回は、このICRについて、やさしくかみ砕いて解説します!
◆ インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)とは?
ズバリ言いますと、ICRは「営業利益で、利息が何回分払えるか?」という指標です。
計算式はこうです:
ICR = 営業利益(EBIT) ÷ 支払利息
営業利益(本業で稼いだ利益)が、どのくらい利息支払いをカバーできるのかを見ることで、その企業の借入返済力が一目でわかるんです。
◆ どんなときに使うの?
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銀行融資の審査で「この会社、利息ちゃんと払える?」をチェックされる
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起業家自身が「これ以上借りて大丈夫?」を判断したいとき
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事業計画を立てるとき、「将来の利益で借金が回せるか」を検討する
つまり、「借りたお金を返す力があるかどうか」を見るためのものなんですね。
◆ ICRが高いと、何がいいの?
例えば、ICRが「3」なら、「利息の3倍の利益が出ている」ということです。これは、かなり余裕がある状態です。
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ICRが「2〜3」あれば、一般的に安心ライン。
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ICRが「1」だと、ギリギリ利息は払えるけど余裕なし。
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ICRが「1未満」だと、利益だけでは利息も払えず、キャッシュが足りない恐れがあります。
ですから、ICRが高ければ高いほど、金融機関も「この会社は信用できるな」と判断してくれます。
◆ 具体的な計算例で見てみよう
たとえばある会社の営業利益が800万円で、年間の利息が200万円だとしましょう。
このとき、
800 ÷ 200 = 4
つまり、「利息の4倍の利益がある」=非常に安全性が高い、という評価になるわけです。
◆ ICRは業種によっても変わる
ただし、この数値が「どれだけあれば安心」と言えるかは、業種によって違います。
例えば、毎月安定収入が見込める業種なら、ICRが2程度でも十分な場合があります。でも、景気に左右されやすい業種や、売上の波が大きいビジネスの場合は、3~4くらいのICRを目指したいところです。
◆ EBITDAベースで見ることも
一部では、営業利益ではなく、EBITDA(税引前利益+減価償却費など)を使ってICRを出すこともあります。これは、実際のキャッシュフローに近い数字で見たい場合に有効です。
減価償却が大きい設備投資型の業種などでは、EBITDAベースのICRも参考になります。
◆ ICRが低いときの対策は?
では、ICRが低いときはどうすれば良いのでしょうか?いくつか対策があります。
① 利益を増やす(営業力アップ)
当然ですが、売上を伸ばしたり、無駄な経費を見直すことで、利益を増やしましょう。
② 借入金の見直し(返済計画の再設計)
金利の高い借入をまとめたり、返済条件の緩和交渉を行ったりすることで、利息を減らすことができます。
③ 新たな資本の注入
自己資本比率を高めて、借入依存を軽くするのも一つの手です。
◆ ICRの落とし穴に注意!
ICRはあくまで「利息だけ」を見ている指標です。実際には、元金の返済も必要ですし、設備投資や仕入れなどの支出もあります。
つまり、ICRだけでは「資金繰りの全体像」は見えません。あくまで「利息が払えるかどうか」の一点においての安全指標なんです。
ですので、資金繰り全体を見るときは、DSCR(債務返済比率)やキャッシュフロー計算書など、他の指標もあわせて見ていくことが大切です。
◆ まとめ:ICRを味方にしよう!
インタレスト・カバレッジ・レシオは、経営の健全性や借入余力をチェックするための大切な指標です。
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「いまの利益で、利息は何回分払える?」
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「これからの事業計画、借入しても回せる?」
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「銀行に安心してもらうには、どのくらいのICRを目指すべき?」
こうした判断材料として、起業家・経営者はしっかりICRを活用していきましょう!
自分で計算するのが不安な場合や、改善のためのアドバイスが欲しいときは、どうぞお気軽にご相談くださいね。資金計画も含めて、しっかりサポートいたします!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。